大麻の有害物質の構造を一部変えた成分などを含む危険ドラッグの健康被害が複数報告され、政府は2023年9月29日、危険ドラッグ対策会議を開催しました。
厚生労働省によると、警察庁の調査と合わせて危険ドラッグの販売店が約300店確認されていることが明らかにされています。政府は会議を踏まえて、乱用防止のため関係機関による監視や取り締まりを強化する予定です。
健康被害の報告と販売店の調査
日本政府の危険ドラッグ対策会議開催は2016年以来です。今年3月以降、大麻類似の有害成分を含んだ危険ドラッグを摂取した後に救急搬送された事例が報告され、販売店に立ち入り検査が実施されました。
これらの成分を指定薬物に追加するとともに、全国の販売店数や健康被害を把握するための調査が都道府県や警察、麻薬取締部に要請されています。
危険ドラッグの健康被害と販売店の実態
確認された約300店のうち、多くは実際の店舗で、他にインターネット上の店舗もあると報告されました。健康被害は今年1〜8月に16人報告されており、大半が30歳以下。少なくとも昨年も8人が報告されています。
意識障害で交通事故を起こしたり、嘔吐(おうと)や呼吸困難で緊急搬送されたりしたほか、マンションから転落したケースもありました。
対策の必要性と今後の展望
会議の冒頭で、厚労省監視指導・麻薬対策課の佐藤大作課長が「危険ドラッグ販売店舗に復活の兆しが見え始めています。早急に対策を講じていく」とあいさつしました。その後は非公開で、各省庁の取り組みなどが共有されました。
危険ドラッグはかつて「脱法ドラッグ」とも呼ばれ、13年ごろから問題が顕在化しています。厚労省などが取り締まりを強化し、15年7月に販売店舗はゼロになったとされています。