【最新の研究結果】テルペンが抗がん剤による痛みを軽減する可能性

慢性痛の治療には、一般的にモルヒネベースのオピオイド薬が使用されますが、これらは中毒や耐性の増加といった問題を引き起こします。しかし、最近の研究により、大麻由来のテルペンがこの問題を解決する可能性があることが明らかになりました。最新の研究結果とその意味について詳しく見ていきましょう。

Contents

大麻のテルペンと慢性痛の関係

テルペンの効果を検証した新しい研究

2024年5月2日に発表された「Pain」ジャーナルの研究では、大麻のテルペンの注射が、モルヒネの注射と同等の痛み軽減効果を持つことが示されました。この研究にはアリゾナ大学の複数の部門からの研究者が参加し、国立衛生研究所(NIH)からの資金提供も受けています。

研究の目的と方法

研究者たちは、大麻が慢性痛をどのように治療できるかを調査しました。主導者のジョン・ストライチャー博士は、「テルペンが慢性痛を管理するために使用できるかどうか」という疑問に焦点を当て、特定のタイプの慢性痛に対してテルペンが非常に効果的であり、副作用が少なく管理可能であることを発見しました。

CBDとTHC vs テルペン

CBDとTHCの利点と欠点

CBDやTHCは慢性痛の治療に有益ですが、その効果は中程度であり、望ましくない精神作用を伴う可能性があります。これに対して、テルペンは精神作用物質を使用せずに痛みを和らげる代替手段を提供します。

テルペンの優位性

テルペンは、副作用なしに痛みを和らげるための安全で効果的な選択肢となり得ます。研究者たちはアルファ-フムレン、ベータ-カリオフィレン、ベータ-ピネン、ゲラニオール、リナロールの5つのテルペンを調査し、すべてがモルヒネに匹敵するかそれ以上の痛み軽減効果を示しました。

オピオイドのリスクとテルペンの安全性

オピオイド使用の負の影響

オピオイドの使用は、脳の報酬系の活性化を引き起こし、中毒や耐性の増加につながります。しかし、テルペンはこれらの影響を引き起こさず、安全性が高いことが確認されています。

テルペンの副作用プロファイル

研究者たちは、テルペンが痛みを和らげるだけでなく、良好な副作用プロファイルを持つことを発見しました。これは、慢性痛の治療において非常に重要な要素です。

テルペンの摂取方法と効果

摂取方法の比較

研究者たちは、注射、経口投与、吸入の各方法でテルペンの効果を調査しました。経口投与や吸入では効果が低減するか消失することが判明しました。

吸入経路の効果に関する驚き

「多くの人々が市販の大麻抽出物の一部としてテルペンを吸うか蒸気にしますが、吸入経路がこの研究では影響を及ぼさないことに驚きました」とストライチャー氏は述べています。この結果は、テルペンの香りが心因性プラセボ効果を引き起こす可能性があることを示唆しています。

アントラージュ効果と将来の研究

過去の研究結果

ストライチャー氏と彼のチームは、2021年7月にテルペンの痛み緩和に関する有望な結果を発表しました。この研究では、アントラージュ効果が強力であることが確認されました。

今後の研究計画

ストライチャー氏は、次の研究でテルペンが体の報酬系をブロックし、痛みの治療を提供できるかを探求する予定です。彼は、「オピオイドと高濃度のテルペンを組み合わせた治療法が、中毒の可能性を抑えつつ、痛みの緩和を向上させる可能性がある」と述べています。

テルペン研究の進展とその意義

2020年の研究

2020年にMoleculesに掲載された研究では、大麻のテルペンの詳細が定義され、テルペンとカンナビノイドを一緒に使用することでアントラージュ効果が得られることが示されました。

2023年の研究

2023年2月のニューメキシコ大学の研究では、テルペンの濃度が高いほど患者の痛みの緩和が最もよく経験されることが明らかになりました。同年10月には、Abstrax Techの研究者による研究で、カルトリバを区別する際のテルペンの重要性が過大評価されていることが示されました。

まとめ

最新の研究は、大麻のテルペンが慢性痛の新しい治療法として有望であることを示しています。これらの研究結果は、オピオイドの使用に伴う中毒や耐性の問題を解決する可能性があり、痛みの管理における新しい道を開くかもしれません。今後の研究によって、さらに具体的な治療法の確立が期待されます。

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著者

2019年〜CBD系のカンナビノイド製品制作を開始。オレゴン州で製品の販売や原材料の輸入・輸出事業を経て、カンナビノイド業界に携わる企業の経営サポート・コンサルティングに携わる。